●中道 祐弥(Yuya Nakamichi)さん
兵庫県出身。県内の中学校を卒業後、サンシャインコーストでの高校留学を経て、ディプロマからグリフィス大学でビジネスを学ぶ。帰国後はホテルに就職し、自営業も経験。現在は会社員としてWebマーケティングに携わりながら、複数の副業も営む。

留学時代の経験が、Web制作やマーケティングのさまざまな仕事につながった

―現在のお仕事について教えてください
インターネット関連事業会社で、企業のITツールを比較するWebメディアを運営しています。

具体的には、サイト流入数を増やすためにSEO(デジタルマーケティング施策の一種で、Webサイトを検索上位に表示させて流入増加を目指すことが主な目的)の実施などに取り組んでいます。

また本業のほかにも、副業としてWebサイトや動画の制作、Webコンサルティング、SEO関連の仕事も受けています。パートナーと提携しながら、たとえば営業の得意な人は営業を担当する、という具合に業務を割り振っていますね。
―個人で動くだけではなく、事業を展開しているように感じます!今のようなキャリアはどのように築いたのでしょうか?
これまでの自分を振り返ると、その時に一番楽しいと感じたこと、やりたいことをやってきたことが今につながっています。

たとえば動画の仕事は、小さい頃にスケートボードをやっていた時、遊びで動画撮影や編集をした経験が役立っています。

オーストラリア留学中のブログ運営の経験も今のWeb関連の仕事につながっていますね。オーストラリアの高校へ留学した時、留学中の自分の思いを残しておこうと、オーストラリアの留学情報を個人ブログで発信していました。

その後、オーストラリアでの大学留学中に、本格的にWebメディアを立ち上げて運営しました。このWebメディアは各国の留学生15人くらいに記事を書いてもらったので、オーストラリアだけではなく色々な国の留学ノウハウが詰まっています。


―1つのサイトにすべての国の情報が載っていると、留学先を検討しやすくて便利ですね。どのようにして留学生を集めたのですか?
「カナダ 留学 ブログ」で検索し、カナダの情報を発信している留学生を探してメールを送る…ということを色んな国を対象に行い、世界中から人を集めました。

このメンバーとは今も副業で一緒に仕事をすることがありますし、この経験を通してWebサイトの作り方を学べたことは今の仕事につながっています。

高校留学でオーストラリアのサンシャインコーストへ

―高校留学のきっかけを教えてください
中学2年生の時、知り合いの高校留学の話を聞いて「自分も行きたい」と思ったことです。一緒に話を聞いていた両親に、その場で「行かせてほしい」と頼みました。

もともと海外好きの両親の影響で、小さい頃から洋楽や海外のラジオ番組に触れる機会などが多く、3歳から英語も習っていました。

最初は「習わされている」という感覚でしたが…中学に入るタイミングで、オーストラリアのゴールドコーストで1週間ホームステイをした時、それまで習ってきたことのお陰で意外と意思疎通ができ、ホームステイ先の家族とも仲良くなれて。この経験を通して「違う国の人と、違う言語で繋がるって面白い」と思ったことも印象深いです。
―留学先であるオーストラリアのサンシャインコーストは、どのように選びましたか?
日本人が少ない場所を希望し、ゴールドコーストやサンシャインコーストなど色々な地域の高校を見学しました。

その中で、サンシャインコーストにある高校を見学させてもらった時、現地の生徒が挨拶してくれたり手を振ったりしてくれて…人の温かさや土地に魅力を感じ、即決しました。


―高校時代の留学生活について教えてください
趣味のサーフィンを通して現地の人たちと交流したり、他の国の留学生と関わったりする中で、世界中に友達ができました!

通っていた高校では、ドイツ、イタリア、ブラジルなど各国から交換留学生を受け入れていたので、学期ごとに留学生の友達が40人くらいできて。留学生同士の交流の機会が多い学校だったこともあり、仲良くなれました。

ただ、英語は思っていた以上に苦労しましたね。はじめは授業を全く理解できず、しんどかったです。

高校から大学へ進学する時も大変でした。オーストラリアではYear10(日本の高校1年生)で選択する科目によって進学先が決まるのですが、そのことを知ったのはYear12(日本の高校3年生)の時。自分が大学に進学するための条件を満たしていないことに気付きました。

何とか自力で方法を探そうにも、問い合わせの電話やメールになかなか回答が来ないことも。最終的にはディプロマから学部へ編入する方法が見つかりましたが、全てを自分でやらなければいけない状況だった当時は、パニックでしたね…

大学留学ではゴールドコーストのグリフィス大学でビジネス専攻

―オーストラリアの高校から、そのまま現地の大学へ留学しましたね。進学先はどのように選びましたか?
最初は日本の大学を含め、オーストラリア以外の国も検討しました。ただ「日本の大学生は遊んでばかり」という話を聞き、日本の大学に行ったら自分もそうなってしまうだろうという危機感から、海外の大学に行こうと思いました(笑)

最終的にはオーストラリアのゴールドコーストに惹かれて、グリフィス大学を選びました。ゴールドコースはサンシャインコーストに近く、サンシャインコーストよりは少し都会で、サーフィンもできる点が良いと思いました。

グリフィス大学ではビジネスを専攻しました。家族に個人事業主がいることもあり、もともと起業に興味がありました。

また小学校くらいから、たとえばカフェに入った時に「このお店の売上はどのくらいなのかな」と自然にビジネスのことを考えるのが好きだった部分もあります。

留学中はガイドのアルバイトでアワードも受賞!

オーストラリアの大学に留学中は、日系の旅行会社で「空港送迎ガイド」のアルバイトも経験しました。日本人観光客をゴールドコースト空港で出迎え、ホテルまでの送迎バスの中で話をする仕事です。

日豪プレス(現地の日本人向け情報メディア)で求人を見つけて、やってみようと思いました。

バスの中で話す内容は自由ですが、多くのガイドは観光ツアーの案内が中心でした。一方で、僕はお客さんにとって面白い話をしようと、自分しか話せない現地の生活について紹介するなど、試行錯誤をしました。

その結果、全世界のガイドの中からお客さまアンケートで高評価を獲得した10人のうち1人に選ばれ、賞を受賞することもできました。

サービス業のプロを目指してホテルへ就職


―グリフィス大学卒業後のキャリアについて教えてください
新卒ではラグジュアリーホテルに入社し、フロントスタッフとして働きました。

実は、最初は日本の会社のビジネス職を考えていたのですが、就職活動について知らなかったこともあり、書類で全て落ちてしまって…正直、留学やアルバイトの実績があればいけるだろうと天狗になっていたと思います。

そこで改めてこれまでの自分を振り返った時に、留学中のアルバイトを通して、サービス業界では評価いただけたと思いました。それならサービス業のプロフェッショナルになろうと、ホテル業界を目指して就職しました。

ツアーガイドの仕事は留学中にやり切ったと感じたので、その次のステップとして、ホテルマンになり一流のサービスやおもてなしを身に付けようと思いました。

「自分でお金を作ろう」働きながら自営業へ


―その後、ホテルで働きながら自営業を始めています。きっかけを教えてください
働き方や給与の面で、ホテルの仕事を長く続けることは難しそうだと感じました。そこで「まずは自分でお金を作ろう」と、ホームページ制作事業を始めることに。フルタイムで働きながら、休憩時間や終業後に稼働しました。
―学生時代のWebメディア運営の経験が活かされていますね。ただ、本業との両立は大変だったのでは?
そうですね。当時は、ホテルの仕事が終わってから夜通しホームページを制作、朝方4時に就寝、6時起きでホテルに出勤…睡眠時間が1、2時間という毎日でした。そんな生活を半年ほど続けたあと、身体に限界を感じてホテルの仕事を辞め、しばらくは自営業一本で働きました。

Webマーケティング会社への転職を経て、今の仕事へ

その後、引き続き自営業も続けながら、Webマーケティング会社に入社しました。

自営業でのお客さまとのやり取りを通して「もっと社会人経験を積もう」と感じた部分もありますし、またWeb制作が誰でも簡単にできる時代になりつつある中で、プラスアルファも身に付ける必要があると思いました。

入社した会社では、カスタマーサクセスとしてSEOのコンサルティングを担当しました。クライアントのWebメディアの成長に向けて、SEOのトレンドや施策を提案する仕事です。
―その後、今の会社に転職したきっかけを教えてください
コンサルティングという立場では、提案をしても実装されないことも多く、物足りなさを感じることがありました。

そこで、裁量の大きい事業会社で、自分自身で成果を出したいと思って転職し、今に至ります。

留学で培った強い心と、枠にとらわれない考え方が今に活きている


―留学が活きていると感じることはありますか?
まずはオーストラリア留学で培った強い心です。留学は、多くの方がイメージしているであろう良いことばかりではありません。僕自身、留学中は大変なことが多く、色々なことを乗り越えた経験が印象深いです。良いことしか書かれていない留学ブログのイメージだけで留学しない方が良いです(笑)

あとは、枠にとらわれず考えられるようになった点も、留学して良かったと思うことです。日本では「こうしなければ」と思うことも「海外の人はこう考えるのでは?」「こうでも良いのでは?」と多様に考えられるようになりました。

留学は、自分と向き合うきっかけになる機会

―中道さんにとって留学とは?
色々な面で、自分と向き合えるきっかけになる機会だと思います。厳しい環境に身を置くことで自分に足りない点に向き合う、自分が日本人であることや、日本を代表していることに向き合うなど…
―留学を考えている方にアドバイスをお願いします
「何かができた上で英語ができると幅が広がる」という点を意識することでしょうか。

英語を話せる人は日本にもたくさんいますし、語学はあくまで手段です。英語のほかに何かしら強みがある方が良いですし、今はなくても、その何かを探すことを軸にすると良いのかなと思います。

取材後記

明るい笑顔で終始爽やかに話してくださった中道さん。さらっと話しているけどかなりストイック…!と感じるエピソードが多かったことが印象的でした。さまざまなことを徹底的にやり切ってきたことが後のキャリアに活きている中道さんを通して、今この瞬間を大切にすることの尊さを改めて感じました。

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