●白濱 隆盛 (Ryusei Shirahama)さん
福岡県出身。県内の高校を卒業後、1年間フィリピンへ語学留学。サウスバンク・テイフのビジネスコースに進学し、クイーンズランド工科大学ビジネス学部に編入。卒業後はIT企業の営業担当として働く。留学中にオーストラリア代表としてゲームの世界大会に出場した経験が、現在の外資系キャリアに繋がっている。

外資系IT企業の営業担当として、お客さんを笑顔に


―現在のお仕事について教えてください
米国企業の日本法人「オートメーション・エニウェア・ジャパン株式会社」で働いています。

RPAと呼ばれる、事務仕事を自動化する製品を扱う会社で、導入すると、例えば転記などの作業を人の代わりにロボットが行ってくれます。

僕は営業担当で、アポインターが電話で取ったアポイントを引き継ぎ、訪問して製品の契約に繋げます。
―どんなところにやりがいを感じますか?
お客さんは、基本的に最初は営業の話に消極的なのですが、最後に笑顔になってくれると嬉しいです。

海外大学進学に向けて、フィリピンで英語を勉強


―留学のきっかけを教えてください
高校2年生の時、修学旅行でカナダのバンクーバーに行ったことです。

現地の学校を見学したのですが、私服など日本と違う自由な雰囲気が楽しそうだと思い、海外の大学に憧れるようになりました。

そこで高校卒業後、まず1年間フィリピンで英語を勉強しました。
―なぜフィリピンへ?
他の英語圏の国と比べて費用が安く、家族を説得しやすいと思ったからです。 当時、10万円くらいで1ヶ月過ごすことができました。
―オーストラリアだと生活費だけでそのくらいかかりますよね。学校にも通うことを考えると、たしかにリーズナブルです。
最初の3ヶ月は一般的な語学学校に行きましたが、日本人が多く「これでは英語力が伸びないかも」と。

そこで、大学進学のことも考えて、残りの期間はIELTS対策の学校に通い、現地のフィリピン人と一緒に勉強しました。

オーストラリアのTAFEに進学し、クイーンズランド工科大学へ編入


―その後、進学先としてオーストラリアを選んだ理由は?
治安や気候の良さ、そしてアメリカなどに比べると、大学の留学先として日本人が少ないイメージがあったからです。

より日本人の少ない環境を求めて、大都市ではなくブリスベンを選びました。

IELTSのスコアの関係で、まずはTAFEに進学し、コース修了後、編入が可能だったクイーンズランド工科大学に入学しました。
―TAFEの授業はどうでしたか?
学部で勉強する専門の基礎を学べるのですが、先生が丁寧に教えてくれたことが印象的です。

海外の大学に興味があっても、まだ英語に不安がある人や、やりたいことを決めきれていない人にとっては、良い準備ができる場所だと思いました。
―クイーンズランド工科大学へ編入し、TAFEとの違いは感じましたか?
自分から聞かないと先生が教えてくれないと思いました。

当初は授業で何が起こっているのか分からないこともあったのですが、「教えてもらえる」と思っていたために、最初の学期で単位を落としてしまいました…!
―どのようにリカバリーしましたか?
先生に確認するなど自発的に聞くようにしたり、友達と勉強するようにしたりするようにしました。 その後の学期では、順調に単位を取得できました。

留学中は、オーストラリア代表としてゲームの世界大会にも出場


―留学中に印象に残っていることを教えてください
オーストラリア代表として、ゲームの世界大会に出場したことです。

もともとゲームが好きで、留学中もゲームのコミュニティでよく集まっていました。街のゲームセンターに集まったり、誰かの家でお酒を飲みながらゲームをしたり。

そしてブリスベンにいた時、ある格闘ゲームの大会が開催されました。

まずブリスベンで開かれた予選で優勝。さらにオーストラリアの全国大会に出場し、そこでも優勝。

最終的にオーストラリア代表として、韓国で行われた世界大会に招待されました。世界各国から約20人が集まり、貴重な経験ができました。

卒業後は、IT企業で幅広い営業業務に携わる

―就職活動について教えてください
今後どの業界でも必要となるIT関連の知識やスキルを身に付けたいと思い、IT企業への就職を考えていました。人に会うことが好きだったので、営業職を希望していました。

在学中、日本の就職エージェントがブリスベンで開催した説明会に参加したところ、何社かの企業との面接をセッティングしていただいて。

長期休暇に合わせて日本へ一時帰国し、複数社と面接をしました。新卒では、その内の1社に入社しました。
―決め手は何でしたか?
志望動機などの面接らしい質問をされず、雑談をしていたら内定をいただいたのですが、面白い会社だと思い自分に合う気がしました。
―1社目のお仕事内容について教えてください
セキュリティソフトウェアを作っているメーカーで働きました。

パソコンに入れるセキュリティソフトには大きく2種類あり、1つは外部からウィルスなどの攻撃を受けた時のためのセキュリティソフト。

もう1つは、内部からの過失によるファイル持ち出しを管理・制限するためのセキュリティソフトです。

勤めていた会社では、後者の製品を扱っていました。

主に名古屋周辺の自治体向け営業担当として東京と名古屋を行き来し、週の半分は名古屋にいるような生活を送っていました。

商談だけではなく、架電リスト作成やテレアポ、契約・導入後のインストール、その後のバージョンアップも担当しました。 あらゆる業務を一貫して行うので、多くのスキルが身に付いたと思います。

留学中のゲームの世界大会が、転職のきっかけに

―転職のきっかけを教えてください
ゲームで知り合った友人から誘われました。

実はこの友人との出会いは、先ほどお話しした留学中のゲームの世界大会。 選手ではなく観客の方だったのですが、連絡先を交換し、その後も日本で会う間柄でした。

人事をしている方なので、一緒に働かないかと何度か声を掛けていただき、今の会社に入社しました。
―同じ営業職への転職ですが、違いは感じますか?

外資系企業なので英語を使うようになりました。トレーニングやミーティング、香港人の上司への報告などは英語で行います。

また、管理が少ない点も外資らしいと感じます。出社や終業時間が決まっていないスーパーフレックスで、許可を取れば自宅から働くことも可能。 その代わり数字を重視されるので、目標達成が何よりも求められます。
―自由である分、結果を見られるのですね。
そうですね。態度や働き方ではなく結果を見られることは、個人的には楽しいと感じます。

思い通りにいかないからこそ「何とかなる」と挑戦することも大切


―留学を振り返って、後悔していることはありますか?
もしもう一度留学するなら、大学の勉強を仕事に役立てることを意識し、もっとしっかり考えて専攻を選ぶと思います。

ただこれは、留学を終えて勝手が分かっている今だからこそ言えることかもしれません。

何も知らない状態で手探りで調べ、キャリアを描いて留学しても、思い通りに行くことはほとんどないと思っていて。

だから「やっているうちになんとかなる」という気持ちで、まず挑戦してみることも大事だと思います。

現地の趣味のコミュニティに飛び込むことがおすすめ

―これから留学を考えている学生にアドバイスをお願いします
趣味のコミュニティを持つことです。僕はフィリピン留学中からゲームのコミュニティにいて、SNSでの繋がりもありました。

それが高じて、オーストラリア現地のゲームコミュニティにも、初日からスムーズに迎えてもらうことができました。

このように、留学前や直後の段階で、SNSなどを活用して現地のコミュニティに飛び込むと、英語力も伸びるのでおすすめです。
―白濱さんの場合、ゲームは今のキャリアにも繋がっていますし!
ゲームでもなんでも、やると何とかなります(笑)

取材後記

趣味が留学中のコミュニティや、いつの間にか現在のキャリアにも繋がった白濱さん。「何とかなる」という言葉からは、心の余裕が感じられました。予想外のことばかり起きる留学生活では、流れに身を任せるような気持ちのゆとりも大切だと改めて感じました。

*Special Thanks:畑雅也さん

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