●ハヤシ アリス マイ(Hayashi Alice Mai)さん
パラグアイ出身。現地のインターナショナルスクールを卒業後、グリフィス大学ディプロマを経て、学部でホテルマネジメントを学ぶ。卒業後はオーストラリアのホテルで働き、現在はラグジュアリーリゾートのドバイ本社にてホテルの立ち上げに携わる。

世界各国のラグジュアリーリゾート立ち上げに携わる


―現在のお仕事について教えてください
ラグジュアリーリゾートホテルOne &Only Resortsのドバイ本社で、グループ内のホテルの管理や立ち上げに関わっています。

ホテル業界は、飲料部門や調理部門などいくつかの部門に分かれていて、今のチームにはそれぞれの部門に強いメンバーが揃っています。私は、フロントや清掃などを管轄する宿泊部門、そして「ゲスト・エクスペリエンス&クオリティ」と呼ばれる顧客サービスの品質を中心に管理しています。

グループ内で新しいホテルを立ち上げる時は、メンバーが各部門のスペシャリストとして派遣され、部門ごとにトレーニングを実施します。

私はこれまでに、アフリカのルワンダやモーリシャス、メキシコ、モンテネグロでの立ち上げで現地に滞在しました。


―仕事で世界のリゾート地に滞在できるとは楽しそうですね!
そうですね。One &Only Resortsは、一泊1500ドル〜のラグジュアリーリゾートで、ヴィラタイプのプライベートな空間で滞在をお楽しみいただけます。
―お仕事の時に大切にしていることは?
ホテルを新しくオープンする時は特に「One &Only ResortsブランドのDNAが行き届いているか」を重視します。

スタッフの方に対して、One &Only Resortsのあるべき姿を伝えながら、ゲストの方のためにできることを考えています。
―ハヤシさんが思うOne &Only Resortsらしさとは?
ゲストの方を中心に据えることでしょうか。私たちがやることは、全てゲストの方のためである必要があると考えています。

お金に目を向けすぎると忘れられてしまいがちですが、一番大事なのはゲストの方。訪れた方にご満足いただけるサービスを提供できるよう、私たちに何が求められているかを徹底的に話し合います。
―専門である宿泊部門の魅力について教えてください
ゲストの方と直接関わることができる点が好きです。フロントは「今日はどんな1日でしたか?」といった調子でゲストの方と話せる、フレンドリーな部署です。

私自身、ホテルのフロントマネージャーの方を見て「かっこいい!自分もやってみたい!」と憧れ、宿泊部門でキャリアの経験を積みました。
―憧れの仕事を実際に経験して、どうでしたか?
大変です(笑)「話したい」と言われる時は、たいてい何か問題が発生した時ですし…
―問題が起きた時はどのように解決していますか?
話を妨げず、耳を傾けることを大切にしています。そして、厳しいお言葉の場合でも、ゲストの方は私自身ではなく起こったことに対してお叱りなのだと考え、ゲストの方が置かれてしまった状況に対して謝るようにしています。

それに、ゲストの方が時間を使ってご意見をくださることに感謝するべきだと、ポジティブに受け止めるようにしています。

問題が起こっても何も言わず、そのまま去ってしまうこともできる中、話をしてくださるということは、気にしてくださっているということだと考えます。

そこで、起こってしまったことから何を学び、今後どのように改善し、いかに再発を防ぐかを大事にしています。
―もともとホテル業界に興味があったのですか?
はい。両親が飲食関係の仕事をしていて、少なからず影響を受けていたかもしれません。ホテルマネジメントを勉強するため、オーストラリアの大学へ留学しました。

ホテルマネジメントを勉強するため、オーストラリアへ留学


―留学のきっかけを教えてください
日系3世としてパラグアイで生まれ育ち、現地のインターナショナルスクールに通っていて、高校卒業後は英語圏の大学への進学を考えました。
―留学先としてオーストラリアを選んだ理由は?
他の英語圏の国と比較すると留学費用がリーズナブルで、気候の良さにも魅力を感じたからです。パラグアイが亜熱帯地域ということもあり、温かい国が良いなと思いました。

さらに、子供の頃にオーストラリアを訪れた時、フレンドリーな人々や環境を気に入り「また戻ってきたい」と感じていました。
―グリフィス大学を選んだ理由は?
カリキュラムが実践的だと感じたからです。ホテル業界でのキャリアを目指すためにも、実践的に学びたいと思いました。

ディプロマを経て、ゴールドコーストにあるグリフィス大学へ進学しました。

留学中に実務経験を積み、卒業後は現地のホテルでキャリアアップ!

―在学中、実践経験を積むことはできましたか?
はい。留学中はアルバイトも経験しました。大学の友人経由でレストランの求人を知って応募し、昼間は大学で勉強、夜はウエイトレスとして働きました。

ホテル業界を志望している学生は、学生のうちに実務経験を積むことがとても大切です。中でも、飲料部門は比較的入りやすく、ホテル業界のスタートとしておすすめです。

私自身、レストランで1年間働いた後は、ホテルの色々な部門でクロストレーニングを受けることができました。レストランでの就業経験がなければトレーニングの機会を得ることもできなかったので、飲食業界で働いて良かったと思います。

飲料部門は給与や拘束時間の面でも楽ではありませんが、ホテル業界を目指す上で必要な経験だと思います。
―卒業後のキャリアについて教えてください
卒業ビザを取得し、アルバイト先だったホテルにそのまま就職しました。2年間の卒業ビザ終了後も、勤務先からビザのスポンサーになってもらい、働き続けることができました。

そのうちに、フロントのポジションに応募できる機会に恵まれて、念願のフロントで働き始めることに。スタッフからチームリーダー、スーパーバイザー、アシスタントマネージャー、マネージャーへと徐々にキャリアアップしました。
―マネージャーになり、何か違いを感じましたか?
はい。スタッフの時は褒め言葉や批判を受ける立場でしたが、マネージャーになったことで、フィードバックを受ける側から、与える側になりました。また、人々に「ありがとう」と言うことが多くなったと感じています。

転職し、ラグジュアリーリゾートで宿泊部門のマネージャーを務める


―転職のきっかけを教えてください
現在働いているOne &Only Resortsのリゾートが、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の郊外にあり、ありがたいことにお声がけをいただきました。

宿泊部門のマネージャーとして、フロントをはじめ清掃やオペレーターの管理に携わりました。

ホテルの立ち上げ経験を経て、本社ドバイへ

One &Only Resortsオーストラリアで働く間、モーリシャスでのリゾートホテル立ち上げにも関わりました。その経験を経て、キャリアの幅が広がったと思います。

その後、ドバイの本社へ異動となり、今の仕事に携わることになりました。
―これからやりたいことは?
リゾートの活気や、常に何かが起こる雰囲気が好きなので、いつかまた現場で働きたいです。次はどこで働こうかな?と考えることも楽しいです。

目標を立ててロードマップを考え、自分を更新し続けることが大切

―これから留学する学生にアドバイスをお願いします
学生のうちに目標を設定して、それに向けたキャリアプランを描くことが大事だと思います。そして、卒業までに実践的な経験を積むことも重要です。

私は学生の頃から「フロントマネージャーになりたい」という目標を立て、「そのためにまずはチームリーダーになって…」というロードマップを考えていました。

フロントマネージャーになったら、次は宿泊部門のマネージャー。こんな風に自分に責任を課すことで、前に進めると感じています。

そして、キャリアに関する知識や技術を磨き続けることも必要だと思います。

私自身、大学院に進学しても良かったかもしれないと思うこともありますし、学部を卒業後、マネジメント関係のディプロマを取得しました。世の中の新しい技術やスキルなどを吸収しながら、自分を更新し続けることが大切です。

取材後記

ドバイ在住のハヤシさんへのインタビューは、オンラインにて、ドバイ時間の朝7時から実施しました。早朝にも関わらず、キャリアウーマンらしいパリッとした姿が素敵なハヤシさんを前に、私の身も心も引き締まりました!

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