●ブライアン(Brian)さん
香港出身。クイーンズランド大学ファウンデーションコース経由で経済学部入学。卒業後は、香港で銀行員を経てイベント会社へ転職。現在は独立し、世界的ブランドのイベントの企画運営を手掛ける。
高級ブランドのイベントやウインドウディスプレイを手掛ける
―現在のお仕事について教えてください
ひとり社長として、企業のイベントの企画運営を手掛けています。
具体的には、インテリアデザインやvisual marchandising(小売店などで、商品の魅せ方を考えること)の領域が中心です。
たとえば、新発売の香水のプロモーションイベントでは、香水のイメージに合わせてイベントのコンセプトを決めたり、空間の使い方を考えたりしました。
香港のショッピングモール内にある店舗のウインドウディスプレイの仕事では、来店するお客さまの動きを考えて商品の陳列を考えました。
ーアナスイにブルガリ…有名なブランドばかり!
たまたまですよ!1つ実績をつくったら、他のブランドからも声を掛けていただけるようになって…少しずつ案件が増えました。
香港のイベント市場はそれほど大きくないので、依頼先が限られています。
そのため、良いサービスを提供すればリピートしていただけたり、他のブランドからも声が掛かかりやすいのかなと思います。
限られた期間の中でクライアントの要望をまとめて、イベントに必要なものを手配する過程は大変です。
でも、イベントが成功し、クライアントが喜んでくれると嬉しいです。
ーもともとイベント業界でのキャリアをめざしていたのですか?
いえ、学生時代は銀行員をめざしていて、オーストラリアの大学で経済学を勉強しました。
ただ、留学中は学生団体でイベントの企画運営に関わっていました。そのときの経験が今につながっていると思います。
オーストラリアのクイーンズランド大学で経済学を学ぶ
ーオーストラリア留学のきっかけを教えてください
香港の大学への入学が難しかったので、大学留学を決めました。
香港には、日本の大学入学共通テストのような試験があるのですが、その結果が振るわず…
香港で大学に入学できる人の割合は5人に1人程度。競争率が高いので、経済的に可能であれば代わりに大学留学、という選択肢も珍しくはありません。
ー留学先としてオーストラリアを選んだ理由は?
他の英語圏と比較して、香港からの距離が近く、治安も良く、さらに父の友人がオーストラリア在住で現地の情報を得ることができたからです。
できるだけ香港人が少ない地域へ留学したかったので、オーストラリアの中でもブリスベンを選びました。
ブリスベンにあるクイーンズランド大学のファウンデーションコースを修了後、経済学部へ入学。
経済学部を専攻した理由は、高校時代から数学や統計が好きだったからです。また、経済発展が著しい香港でのキャリアにも活かせると思いました。
ー留学生活について教えてください
留学当初は、簡単な単語を知らなかったり、単語の使い方を間違えたりして、オーストラリア人や他国の留学生に理解してもらえないこともありました。
でも、英語を身につけたいという目標があったので、留学中はシンガポール人やオーストラリア人、インドネシア人と住み、積極的に英語を話すようにしました。
その結果、英語も上達しましたし、臆することなく英語で話せるようになりました。「他の留学生と比べて、英語に広東語訛りがない」と言われることも。
もちろん、最低限のアカデミック英語ができれば大学は卒業できるかもしれません。でも、日常的にできるだけ英語を使うことはとても大切だと思います。
オーストラリア留学中、学生団体でさまざまなイベントを企画運営
また留学中は、同じ広東語圏であるマカオの学生団体「Macau Student Association」に所属し、チームリーダーや副部長を務めました。
この団体には、ブリスベン内の他の大学に在籍する香港やマカオの留学生も所属していて、毎年さまざまなイベントの企画や運営を経験しました。
最終学年では、複数の学生団体と協力しながら、ブリスベンの行政と一緒に街のイベントの一部を企画しました。
留学後は、銀行員→転職や独立からイベント業界へ
ー留学当時のキャリアプランについて教えてください
もともと安定した職に就きたいと考えていて、銀行を志望していました。
そこで、オーストラリアの大学を卒業後、銀行に絞って就職活動を始めました。銀行は採用人数が多いので、苦労することなくスムーズに内定が出ました。
ー希望通りの就職ですね!
はい。ただ、思い描いていたイメージと実際の仕事が異なり、飽きてしまいました…
窓口業務を担当したのですが、1日中座って、預金や引き出しに対応する日々。「これじゃ、自分はATMと同じじゃないか」と(笑)
そこで、オーストラリアでの学生団体の経験を思い出し、イベント業界へ転職をめざすことにしました。
未経験だったので転職活動は苦労しましたが、ライブ配信サービスの運営会社で働けることに。
その会社で1年ほど働いたあと、ライブ配信だけではなくイベント全体の企画に携わりたいと思い、自分で会社を立ち上げました。
実務は、オーストラリア留学中の経験が役立ちましたね。
学生団体で、毎年10イベントほど企画していたので、そこで企画運営のイロハを学んでいたと言えるかもしれません。
ー案件の獲得も必要だと思いますが、営業活動も自分で?
はい。前職で得た知見を参考にポートフォリオを作成し、いろいろな会社へ送りました。
すると、なんと香港のブリティッシュ・カウンシル(英国拠点の国際交流機関)から、女王陛下誕生祝賀会の運営を依頼されて。
この仕事を通じて紹介してもらったシンガポールのイベント会社で、何年か働きました。
その会社は、ブルガリやフェラガモのような高級ブランドのブランディングを手掛けている会社で、多くのことを学びました。
新型コロナウイルス感染拡大前は、台湾、シンガポール、上海、ヨーロッパなどへ海外出張の機会もありました。
今の仕事を大切にしながらビジネスを拡大したい
新型コロナウイルス完成拡大後、会社としてイベント案件が縮小したことをきっかけに再び独立し、今に至ります。
今後は香港だけではなく、中国をはじめ他国への進出や、いろいろな種類のイベントを手掛けるなどで、ビジネスを拡大したいです。
今受けている仕事を大事にしながら、少しずつステップアップできればと思います。
留学中は自由だからこそ、自分を知りコントロールする必要がある
ーブライアンさんにとって留学とは?
「ハピネス」ですね。僕はオーストラリア留学を通して、勉強だけではなくワークライフバランスを学びました。
留学中は生活そのものが自由です。それは、生活を自分でコントロールする必要があるということ。僕は、お金の使い方や料理などを身につけました。
また、どこにいくか、どんな人と何をするのかも自分次第。だからこそ、自分が何をしたいか、何をめざすのか、自分自身を知る必要があります。
そして、ゴールが見つかったら考えすぎずにやってみればいい。留学中はいろいろな困難があると思いますが、挑戦し続けていれば、ゴールにたどり着くと思いますよ。
取材後記
留学時代からフレンドリーで、マメで、面倒見の良かったブライアン。
クライアントさんが「仕事を任せたい」「またお願いしたい」と思うのも納得です!独立後お仕事に恵まれているのも、彼の人徳だなと思いました。
留学当初から一緒に切磋琢磨した友だちの活躍は、やっぱり嬉しいですね。
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