●横田 尚己(Naoki Yokota)さん
福島県出身。青山学院大学社会情報学部を卒業後、クイーンズランド大学院に留学し国際ビジネス修士卒業。
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社、株式会社リクルートキャリアを経て、現在は株式会社M&Aクラウド(https://macloud.jp/)のプラットフォーム事業部長。
M&Aマッチングプラットフォーム事業のプロダクトマネージャー
―現在のお仕事について教えてください
求人広告型M&Aプラットフォームを手掛ける会社で働いています。求人サイトのM&A版をイメージしていただくと分かりやすいと思います。
「会社を買いたい」という企業様を弊社のサービスに掲載し、それを見た「会社を売りたい」という企業様がアプローチして、マッチングする仕組みです。
僕はプラットフォームのプロダクトマネージャーを務めています。業務は、主に新機能の開発や既存機能の改善。
どんな機能を、いつ、どうやって、なぜ作るのかを設計し、開発チームやカスタマーサポートチーム、営業チームと連携しながら形にします。
―どんなところにやりがいを感じますか?
プロダクトマネジメントはIT・ビジネス・デザインの3つのスキルを持ち合わせていないと成り立たない仕事なので、ビジネス全体を幅広く学べる点に魅力を感じます。
新機能の開発や仕様の変更をすると、営業チームのオペレーションを変える必要などが発生します。様々な部署と関わる機会が多く、色んな人と仕事ができるのも楽しいですね。
一方で、プラットフォームにユーザーを集めるマーケティングやオウンドメディアの管理も担当しているので、業務の責任の重さを感じており、スリリングな環境で働けていることも魅力です。
―マネジメントをする立場になり、変化はありましたか?
開発チームのマネジメントを通して、仕事の見方が変わりました。
メンバーからしか見えないこと、マネージャーから見えること、経営層から見えることに大きな違いがあるんだな、と。
メンバーは、自分の事業が上手く回れば良いという意味で、全体よりも個別の最適を見がちです。
一方、マネージャーや経営層は、人間関係なども含め、他の事業部とのバランスや、会社全体のビジョンおよびミッションとの整合性も気にする必要があります。
―外資系コンサルティング会社やリクルートでの経験を活かし、今はマネジメント。理想的なキャリアです
でも、大学院に留学する前は、普通の日本の大学生でしたよ。アルバイトやサークルなど、学生らしい大学生活を楽しみました。
就活で感じた「学び直したい」という思いが、大学院留学を決意
―大学院留学のきっかけを教えてください
就職活動が始まり学部生活を振り返った時、何かを突き詰めた経験や、頑張ったと言えることがないと思ったことです。
就職活動を通して出会った人の中には、既に長期インターンなどで経験を積んでいる人も。
そういう人たちと比較して、自分はまだ社会に出る準備が不十分だと感じました。
そこで自分がやるべきことを考えた時に出た答えが、勉強すること。
大学院でビジネスを専攻して、幅広い業界のことを学ぼうと思いました。
ビジネスであれば海外の方が先進的で学べる内容が多いと思い、留学を決めました。
―オーストラリアを選んだ理由は?
アジアに近い英語圏だったからです。
学部時代にアメリカに短期留学した時、白人は白人同士、黒人は黒人同士のコミュニティがあることを目の当たりにして「人種」という括りや違いを認識しました。
そこで、大学院の留学先として、自分のルーツであるアジアに近い環境を選んだ方が合うのではないかと思いました。
また、当時アジアのビジネスが大きく成長するだろうと感じていていたので、地理的に近いオーストラリアを選びました。
―オーストラリアでアジアとの距離の近さを実感することはありましたか?
中国の不動産など、アジアの資本が集中していることを感じました。
それからアジア人の留学生が多かったですね。
特に中国からの留学生が多く「かつて日本がそうだったように、中国が豊かになり、その子息が海外に出ているんだな」と思いました。
国の成長を肌で感じ、面白かったです。
留学中に学生団体を立ち上げ、日本人コミュニティを活性化
―オーストラリアの中でブリスベンを選んだ理由は?
出願可能な大学院がブリスベンにあったからです。
本当はシドニーやメルボルンのような大都市に行きたかったのですが、学部の時に勉強してなかったので、成績の関係で選択肢が限られていました(笑)
ただブリスベンは、大都市に比べてコミュニティが整っていなかったからこそ、自分でゼロから作る経験ができて良かったです。
もし大都市に留学していたら、新しいことを始める余地は少なかったかもしれません。
―実際、留学中に学生団体BrisJapanをゼロから立ち上げています
BrisJapanは、ブリスベンにいる日本人のコミュニティを作るために設立しました。
当時、例えば留学生が就職活動をする時に相談できる人がいないなど、現地のコミュニティの少なさに不便を感じていて。
留学生や駐在している日本人が繋がる機会を作り、皆がコネクションを活かせるようにしたいと思いました。
初期メンバーに日系企業主催の短期留学プログラムで派遣されていた人がいて、そのプログラムが手掛けていた就活サポートに関わる形で始まりました。
最初は共同でのイベント開催や学生の集客を手伝い、基盤ができてからは自分たちで大規模なイベントなどを開催しました。
―横田さんの卒業後の進路も、BrisJapanでの繋がりがきっかけですか?
僕自身のキャリアは、クイーンズランド大学院の授業が影響しています。
大学院の授業が、コンサルティング業界を志望するきっかけに
クイーンズランド大学院で国際ビジネスの授業を受ける中で、海外のビジネスを国内に持ち込むことや、逆に外国進出のオペレーションに携わりたいと思うようになり、コンサルティング業界を志望するようになりました。
そこで、毎年シドニーで開催されている日本人留学生向けのキャリアフォーラムに行き、コンサルティング会社から内定をもらいました。
大学院に入学してから半年後くらいのことだったので、割と早い段階で就職先が決まりました。
コンサルティング会社で感じた、人材資源の重要性
―ファーストキャリアについて教えてください
コンサルティング会社に入社し、外資系自動車メーカーの人事関連システムの導入とオペレーション変革のプロジェクトや、日本のサービス業が抱える経営資源(人・モノ・カネ)の課題を、海外と比較して分析する官公庁向けの研究プロジェクトなどに取り組みました。
人材がキーワードになるテーマが多く、その中で、企業にとって人材資源が大切であることを感じました。
一方、コンサルティングとして第三者の立場でクライアントにアドバイスするだけではなく、自分で事業を動かすことにも興味を持つように。
「人材」と「事業」を軸に考えた時、人材ビジネスで日本一、かつ事業を創る力が強い会社で思い浮かんだのがリクルート。
そこで、リクルートへ転職するためにリクルートエージェントに登録し、求人を紹介してもらいました。
リクルートでプラットフォームビジネスの魅力を知る
―実際にリクルートに入社し、人材事業に携わりますね
中途転職メディアの事業戦略立案やモニタリング業務を行う部署で、事業のダイナミズムを感じることができました。
またリクルートは、自分たちの事業が社会をどう変革するのかを真剣に考えて働いている人が多く、素敵な会社でした。
ただ、巨大なプラットフォームに関わる以上、1人の対応範囲にはどうしても限りがあり、時には事業部間の連携が難しいことも。
また、リクルートは既に大部分が完成されている組織だったため、裁量の大きさや組織成長のダイナミズムを感じるという点でどこか物足りなさを感じて。
そこで、引き続きwebサービスの分析や企画に携わりつつ、より小さな事業体でプラットフォームの色んな側面を知り経験値を増やしたいと思い、転職を考えるようなりました。
ベンチャーに転職し、できることの幅を広げる
―転職活動について教えてください
Wantedlyに登録したところ、今の会社からスカウトが来ました。
入社の決め手は、自分がやりたいと思っていたことが、この会社のプロダクトマネジメント業務と一致していたこと。
もともとプロダクトマネジメントの知識があったわけではありませんが、必死に勉強しながら業務にあたっています。
―大企業からベンチャーに転職して、裁量の違いを感じますか?
今携わっているプラットフォームは、まだ規模が小さいからこそトライアンドエラーを繰り返すことができ、事業に対する手触り感があります。
こういう経験をしておくと、裁量が大きくなった時にできることの幅が広がるのが良いですね。
小さな事業を大きく成長させて、世の中に価値を与えていきたい
―今後やりたいことは?
経営に近い立場で働く中で、自分は起業して代表取締役になるよりも、事業を創る側にいることが好きだということが分かりました。
そのため、事業寄りの経営に携わる立ち位置において価値を生み出せよう、しっかりスキルを身に付けたいです。
そして、今のプラットフォーム事業を、業界内で圧倒的な地位を築くところまで成長させたいです。将来的には、海外に展開などもできればと思います。
小さな事業に関わり成長させて、世の中に価値を与えていきたいです。
留学中は、目的意識を持ってやり抜くことが大切
―これから留学する学生にアドバイスをお願いします
目的意識を持って、やり抜くことが大事だと思います。自分の可能性を信じて、遠慮せずに飛び込むこと、やりきることを大切にしてください。
取材後記
BrisJapanを立ち上げるなど、留学中からリーダー的存在だった横田さんは、卒業後も持ち前のリーダーシップを発揮しながら順調なキャリアを築いています。
「勉強する」という目的を持って留学し、常に課題や目標に向かってステップアップを続けている横田さん。これからも研鑽を積み、社会に価値ある事業を提供し続けてくれることでしょう。
12 読み込み中...